逆子の鍼灸治療について
逆子って?
「逆子」は、医学的には「骨盤位」と呼ばれ、子宮の中で赤ちゃんの頭が上で、おしりや足が下になっている状態のことをいいます。
自然に治ることも多いですが、出産まで逆子が治らなければ、分娩時に赤ちゃんが危険な状態になることもあるため、帝王切開になるケースが多くなります。
実際には、約5%の妊婦さんが逆子のまま出産を迎えています。
逆子の原因
実は現代医学でも、逆子の原因はまだはっきりと解明されていません。
・お母さんの骨盤の形が狭い
・子宮口付近に胎盤がある前置胎盤
・子宮筋腫のため子宮が狭い
・へその緒が赤ちゃんに絡まっている
など、物理的に赤ちゃんが身動きが取れない状態になっている場合と、
特に原因がわからないものがあります。
<原因がわからない逆子ちゃん>
現代医学的にみて特に問題がない妊婦さんでも、
東洋医学的に見ると改善点が見つかる場合があります。
こんな症状はありませんか?
脚がだるい、冷える、浮腫む
脚の内側には、足太陰脾経・足厥陰肝経・足少陰腎経という3つの大切な経絡が通っています。
これらの経絡は、赤ちゃんの出口(会陰)や下腹部を通っていて、
妊娠後期になってくると、出産に向けて特に働きが盛んになります。
会陰や下腹部に気(エネルギー)が充実してくると、それにつられて赤ちゃんの頭が下に向き、
つるりと生まれやすい体勢となります。
しかし、その時期にお母さんの脚が冷えていたり、不安やストレス 過労などが原因で、
脚の経絡が詰まり、気血の流れが悪くなっていると、会陰や下腹部に気が充実せず、
赤ちゃんの頭が下を向かない為、逆子になってしまうと考えられます。
お腹がよく張る、腰や骨盤が痛い
お腹が張ったり、硬い状態では、お腹の中で赤ちゃんは窮屈で動くことができません。
胎動が小さいタイプの逆子ちゃんは、お腹の張りが原因のことが多いです。
妊娠中も変わらずお仕事を続けておられる方や、上のお子さんがまだ小さく
抱っこや身を屈めてのお世話が多い方、腰痛や骨盤痛がある方、不安やストレスが強い方などは、お腹が張りやすいです。
また、初産の方は、「お腹が張っている感じ」が自分でわからず、
知らず知らずのうちに動きすぎているということもよくあります。
逆子の鍼灸治療の効果
逆子治療の方法には逆子体操や外転回転術などがありますが、
東洋医学の手法として、鍼灸による治療も
母体や胎児に対する危険性も少なく、効果があるとされています。
鍼灸治療では、鍼やお灸でお母さんのツボを刺激し、
・脚の経絡の詰まり
・お腹が張りやすい
といった逆子の原因体質を改善していくことで、
赤ちゃんが自然と回ってくれるよう促します。
お母さんの体が整うことで、骨盤内の血行も改善され、新鮮な酸素と栄養がとどき、赤ちゃんの健やかな成長にもよい効果が期待できます。
また、鍼灸治療に来るとほっとしてリラックスできたり、
肩こりや頭痛、腰痛、恥骨痛、股関節痛、足のつりなど、妊娠中の悩みが軽減されることで、
お産に向けて前向きになれるという方も多いです。
心とからだが元気になる鍼灸治療は、
お母さんにもおなかの赤ちゃんにも
とてもメリットの大きい治療法です。
逆子の鍼灸治療を始めるタイミングと矯正率
赤ちゃんのからだが小さいうちは、お母さんのお腹の中でコロコロと動き回っていますが、体が大きくなってくると子宮内で動くスペースがせまくなってきます。その時期が28週ぐらいで、一般に28週位で頭が上を向いていたら逆子と診断されます
逆子治療のタイミングは、28週を過ぎていれば早ければ早いほど良いです。妊娠34週を過ぎると逆子が治る確率がぐっと下がるので、開始が早いほど回る確率が高くなります。
ですが、34週を過ぎたからといって、絶対に治らない訳でもありません。
過去には、36週を過ぎても逆子が治らなかった方が諦めずに治療を続けていたら帝王切開決定の最後の検診の時に逆子が治っていたという例もありました。
*鍼灸治療をした場合の逆子の矯正率については、様々なデータがあります↓
鍼灸治療の効果には個人差があります
逆子の鍼灸治療は、お母さんの体を整えることで、
赤ちゃんに自然に回ってもらおうとするものです。
ですので、お母さんの体の状態、普段の生活環境、治療を開始した週数などの違いにより、治療の効果の出方にはどうしても個人差が出ます。
一度の治療で逆子が治った!というラッキーな方もいますが、
大抵は、治療を始めると、お腹の赤ちゃんがよく動くようになったり、
冷えや肩こり、腰痛、お腹の張りといった症状が軽くなるなど、徐々に変化が見られ、
だいたい3~6回治療した時点で、「検診で見てもらったら逆子が直ってました!」という方が多いです。
中にはなかなか効果が出ない人もいますが、ゆったりと構えて気長に治療を継続しましょう。
しかし、どんなに頑張っても、治療を開始した時期が遅かったり、
逆子になって長い場合は体質が変わってくるまでに時間を要すため、
赤ちゃんが回ってくれる前に帝王切開のタイムリミットが来てしまうこともあります。
また、稀ですが、冷えもなく、お腹も張っていない、元気な胎動もあるのに、なぜかずっと逆子・・・というケースも時々あります。
どんなにお母さんの体を整えても、下に向く気にならない赤ちゃんもいるようで、こればかりはどうすることもできません・・・
そのため、全てのケースで「逆子が治る」という結果に至れるかどうかは、残念ながら確約はできないのですが、
お母さんが納得してお産に臨めるよう、最後まで精一杯の治療をさせていただきます。
逆子鍼灸治療 オススメの通い方
妊娠28週を過ぎて逆子だと言われたら、早めに治療を開始しましょう。
来院のペースは、週に1〜2回がオススメです。(*強制ではありません。)
来院しない日は、家でもお灸をすると治療効果が出やすくなります。
マタニティ会員の方には、ご来院の度に自宅用のお灸をプレゼントします。
小さいお子様やペットがいるご家庭の場合は、火を使わないタイプのお灸もありますので、ご自分に合ったものをお選びください。
生活環境も見直しましょう。
・脚が冷えている方は、服装に気をつけたり、毎日湯船に浸かったり、足首を回すなど軽い運動も効果的です。
・お腹が張りやすい方は、職場や家族に協力してもらって、なるべく横になって休む時間を多くとってください。
・不安やストレスが強い方は、ご自身の不安やストレスの原因をよく考えて、原因を遠ざけたり、解消できるように工夫してみましょう。
治療は最後まで続けましょう。
逆子が治ったからといって、治療を急にやめてしまったり、生活改善を怠ると元に戻ることもあるため、
治ってからも出産までは鍼灸治療に来て体調管理を続けられることをお勧めします。